2010年12月17日

香川照之の本気

永井豪*1が奇跡の名著『デビルマン』を執筆している頃、ほとんど自動筆記に近い感覚だったらしい。

「キャラが動く」

という感覚では生ぬるいのではないか。
おそらく「不動明」「飛鳥涼」に魂を奪われながらの執筆であったに違いない。

あの狂気に満ち満ちた描線は、以後鳴りをひそめる。

後年、(ライフワークの)『バイオレンスジャック』や『デビルマンレディー』などを上梓するも、あの描線が復活する気配は全くうかがえない。

20101217_devilman.jpg
(クリックすると拡大します。「デビルマン」5巻(講談社漫画文庫)から)
狂気に満ち満ちた描線。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

同様の事を言えるのが、これまた神が降臨せし不朽の名作あしたのジョー

作者ちばてつや自身も、当時の線は二度と引けないとコメントしている。
Joe_101210_01.jpg
(クリックすると拡大します。『あしたのジョー 40周年公式サイト』から転載)


そのちばが、今年描きおろした原画がある。ご覧いただこう。
Joe_101210_02.jpg
(『シネマトゥデイ』から転載)

絵柄の変化は避けられぬ事態とはいえ、二度と戻らぬ時を感じざるを得ない。。。
ジョーとともに“あの頃の”ちばもまた、真っ白に燃え尽きたのだ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

そんな『あしたのジョー』が来春、実写として劇場映画になる(←註:音楽が鳴ります!)のはご存知だろう。
ジャニーズの山Pこと山下智久(NEWS)が、ジョーを演じることで話題だ。

上のちばの原画は、その映画の前売り券の特典ポストカードの一枚。

ライバル力石徹は伊勢谷友介が演じるが、色々な意味で(笑)最も難しい丹下段平を演じるのが香川照之である。

ボクサー通として名高い香川だが、どうしてもコスプレ臭がつきまとう段平のおっちゃんをどう演じるか、見物である。
Joe_101210_03.jpg
(『シネマトゥデイ』から転載)


・・・判断は皆様各自にお任せしたいあせあせ(飛び散る汗)


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現在キムタク主演のSPACE BATTLESHIP ヤマトが何かと話題だが、同じくマンガを原作とする実写作品『あしたのジョー』
ヤマト同様、色眼鏡で見られるのは運命として、どこまで正当に評価されるものか・・・。

そしてこの閉塞感ただよう平成の世に、『あしたのジョー』はまだ必要とされているのだろうか。

『あしたのジョー』トレーラー(予告篇等)
Joe_101210_04.jpg


力石役が逃れられない一つに減量シーンがあるが、演じる伊勢谷友介はNHK大河龍馬伝」で高杉晋作役も演じており、晋作といえば晩年は肺結核に冒されるわけで、減量は役者として一挙両得だったのでは?との揶揄もある(笑)。

一方同じく「龍馬伝」に主演(?)するのが岩崎弥太郎役の香川照之。同時期にドラマ『坂の上の雲』で正岡子規役も演じる。
子規も晋作同様病に倒れるが、香川はそのために15kgの減量を敢行。段平役にはあまり役立たなかったか?

『あしたのジョー』原作者、高森朝雄(=梶原一騎)の書いたラストシーンが、
“白木邸で静かに余生を送るジョーと、それを見守る葉子の姿”
であり、作画のちばてつやがこれを大いに不服とし、梶原と喧嘩したのは有名な逸話だが、その幻のラストシーンを後年、ちばが描いたイメージ画がこれである。

chibapro_work_51_0.jpg
(『ちばてつや公式サイト』から直リンク)

・・・どう考えても、このラストシーンにならなくて良かったと思う。。。

*1 永井豪
漫画家。アニメ企画作家。主な作品に、『デビルマン』『マジンガーZ』『キューティーハニー』『ドロロンえん魔くん』『けっこう仮面』『ハレンチ学園』『バイオレンスジャック』・・・他多数。
手塚治虫を筆頭に、石森(石ノ森)章太郎、藤子不二雄、赤塚不二夫らと並ぶ昭和の巨頭。
間違いなく魔界の人である。

posted by Gen◇◆ at 01:11| Comment(4) | カルチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
リアル世代でなかったのか、母の検閲にあったのか(うちの母は女の子っぽいマンガやアニメしか見させなかった)で永井豪作品もあしたのジョーも有名な場面しか知らんとです
でも香川照之は「何でもやるなあ(苦笑)」
龍馬のラストシーン「殺されたの?殺されたんじゃなかったよねえ?」でした、それぐらいすごい
がんばれおっちゃんw
そんなわかってないあっしでもジョーのラストがそれにならなくてよかったと思います
Posted by かんさいや at 2010年12月17日 09:58
>>店主さま

ご姉妹は妹さんだけでしたっけ?
それならお母様の指導だけでなく、少年がハマりやすいマンガに興味を持たなかったのは自然でしょうねぇ。
お父様も通勤電車内で、平気でマンガ雑誌を読むような世代ではないでしょうから、ご家庭でそんな話をされる事も少なかったでしょうし。

僕は逆に男兄弟ばかりなので、少女マンガに縁がありませんでした(ちなみにマンガ本は禁止の家庭だったのですが、テレビアニメはバカボン以外許されてました。「バカボンはアホになるからあかん」かったそうですww)。

中学時代に女子(笑)から『陽あたり良好!』を貸してもらったのが、少女マンガの最初かな?
あだち充作品なので、ちょっとイレギュラーですけどね(笑)。

その後東京に行ってから周りの環境に押されて(?)、日渡早紀や高口里純、紡木たく…などを結構読みました。
佐々木倫子や新井理恵となると、ちょっと斜め過ぎますか?www

◇ * ◇ ・ ◇ * ◇ ・ ◇ * ◇ ・ ◇ * ◇ ・ ◇ * ◇ ・ ◇ * ◇

話を戻しますが、『坂の上の雲』主演のモックン曰く、
「今のNHKは『香川照之のプロモーション局』」
だそうです(爆)。
Posted by Gen◇◆ at 2010年12月17日 10:34
意外にアラレちゃんやドラゴンボールなどは見てよかったんです・・・なんでや?
少女マンガは私が小4のときに親戚からもらうまで無縁でしたね
バカボンはアホになる・・・なるんか?w
紡木たくってどれかひとつ読んだだけですね
佐々木倫子は男性が読み倒してもOK
「ペケ」の先生って知り合いの「お母さん」に似すぎていてオカシイです

はっ、香川照之ね
モックンほんとうのこと言い過ぎ(爆)
Posted by かんさいや at 2010年12月17日 12:49
>>店主さま

僕はアラレちゃんやドラゴンボールの頃は、最もマンガやアニメから離れていた時期ですねー。
高校受験やその後の部活とかで、そっち方面にあまり興味がない時期で。
超絶人気を誇っていたジャンプも、全く読んでいませんでした。もちろん北斗の拳とか人気作の大まかな筋は、ぼんやりと知ってましたけど。

それが中年の今、深夜に「イカ娘」を見てけろけろ笑っているとwww
カーちゃん、こんな風に仕上がってごめんなm<__>m

「ペケ」は僕にとって、結構衝撃でしたよ。
当時少年・青年誌は、相原コージや吉田戦車、朝倉世界一といった“不条理系(?)”の4コマが全盛だったんですが、
新井理恵の4コマはストーリー漫画の絵柄で展開するので、「少女誌恐るべし!」とビックリしました。

単行本では満足できず、別女コミックも何度か買いましたよ。
恥ずかしかったなー、結構(^^;

その後ファンロードの投稿歴があったと聞いて、二度ビックリしました(わりと有名なローディストさんだったんですわ)。
Posted by Gen◇◆ at 2010年12月17日 13:23
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